このブログにはあんまり政治ネタを書くつもりは無かったんですが、
私も工学を修める博士課程に在籍している身なので書いてみようと思います。
昨今のTVニュースやTV情報番組、インターネット上でも、民主党:鳩山さんのぶち上げた
二酸化炭素排出量を1990年比で25%削減するという目標を立てたことが話題になっています。
もともと、二酸化炭素の大幅な削減を目指していた、環境団体は評価しつつも
まだ、目標が小さすぎると言っているようですし、逆に経済界はこれには反対する立場
(反対しているというより、慎重に目標を決めてくれということだと思う)を取っています。
では、まず最初に私の立場を明らかにしますと、
「CO2排出削減なんて無理なんだから、
削減目標を掲げて努力することなんてやめて、
温暖化で起こりうる問題の対処法を考えるべき」
と考えています。私自身は温室効果ガス問題以前に、なぜ地球温暖化が問題なのかが
分からないんですが、ここではその議論はせずに、二酸化炭素などの温室効果ガスを
「地球温暖化という恐ろしい問題(笑」の主な原因と位置づけて話を進めます。
ではなぜ私が、CO2削減は無理だと考えているかといいますと、
現在の私たちの暮らしが化石燃料に依存しCO2を排出することで成り立っているからです。
私たちは身の回りにある全てのものは何らかの形で化石燃料と関連しています。
例えば、ペットボトルを考えて見ましょう。
ペットボトルの原料はもちろん石油です。これは皆さんもご存知のことだと思います。
しかし、石油からペットボトルを生産するために石油が燃やされていること、そして飲料メーカから
私たちの手もとにやってくるまでには、CO2を排出するトラックで
製品が運搬されていることを考えなくてはいけません。
つまり、私たちがジュースをペットボトルで飲むことができるのはCO2の排出と引き換えなのです。
これは私たちが口にする食べ物自体にも言えます。
例えば牛肉ですが、もちろん海外からの輸入であれば、輸送するためにCO2が排出されていますし、
純国産和牛ですら、そのエサとなる飼料のほとんどが海外からの輸入に頼っている以上、
私たちは石油を食べて、CO2を排出していることと同じなわけです。
ここまでの話は如何に私たちの暮らしが化石燃料に依存しているかをかきました。
そこで次のようなアイデアが浮かぶわけです。
「じゃあ、なるべく石油や石炭などの化石燃料を使わなければいいじゃないか」
つまり、低炭素社会というヤツです。
しかし、この低炭素社会というものが、真の曲者なのです。
多くの人々はこの響きに騙されているんです。
賢明な科学者の多くは「低炭素社会の実現」と「地球温暖化防止のためのCO2削減」
が両立しないことを知っています。 そのことは実は、日本という国自体が既に証明しているんです。
それはあの有名な京都議定書で、日本は1990年比で削減量6%としていたのに関わらず、
逆に排出量が増えてしまったという問題です。
当時の多くのマスコミや政治家・環境団体は、CO2が逆に増えたこと自体を問題にはしましたが、
なぜ増えてしまったかについては議論しませんでした。
そのために、低炭素社会という決してたどり着くことができない桃源郷が未だに議論されているのです。
なぜ、CO2排出量が増えてしまったのか、その答えは非常に簡単です。
それは私たち消費者が、「省エネ製品を購入したから」です。
上でも述べたように私たちの社会は現状として化石燃料に多くを依存した高炭素社会です。
そのため、高炭素社会で生産される製品は当然ながらCO2を大量に排出するんです。
その製品がたとえ、省エネ製品であっても生産ラインや輸送に使うトラックは相変わらずCO2を排出しています。
仮に工場の省エネ化、電気自動車への完全移行、太陽光発電などの自然エネルギーの活用が行われた
低炭素社会を日本が実現したとしましょう。
しかし、その実現のためには既に大量のCO2が排出されていることになり、
地球温暖化を防ぐという当初の目標は失敗することになるでしょう。
そこで、今回の民主党が打ち出した25%削減に話を戻しますと、
如何に浮世離れした数字かを理解していただけると思います。
もちろん、25%の削減を実現することは可能でしょう。
しかし、そのためには今後10年間で、200%くらいの排出量の増加を猶予してもらってから
改めて75%の削減を達成するとでも言えばよいでしょう。
そうすれば、結果的に日本は25%の削減を達成できます。
それまでに排出された二酸化炭素はどうにもなりませんが(笑
首相の鳩山さんは東京大学の工学系の学科を卒業された方だと伺いました。
果たして本当に工学を勉強されたのか今回の一件で、疑わしく思えてなりません。
単なる外交でのアピールだったとすれば許せないことだと思います。
まぁ、自民党が京都議定書で出した6%や、その後の削減目標を、
数%単位で刻んでくるあたり、世論(マスゴミ)のご機嫌取りっぽくていやです。
日本にはCO2削減は現実的に不可能だということをちゃんと国際的な場でちゃんと言って貰いたいですね。
この話は本当に「地震の問題」にそっくりです。
つまり、予知にお金を使うくらいなら、防災や復興にお金を使うほうがいい訳です。
エコカーに環境のためといって補助金を付けるより、景気対策のためと本音を言うべきですし、
温暖化で島が沈むというなら、彼らの移住先やそこでの就労支援などにODAを出すべきです。